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Ascoli-Arzeràの定理

次回からソボレフ空間のコンパクト性定理の話をしたいので, その準備としてAscoli-Arzeràの定理を紹介します.

 

[定理] (Ascoli-Arzeràの定理)

 M をコンパクトHausdorff空間とし, KM 上の連続関数空間 C(M) の部分集合とする. このとき KC(M) で相対コンパクトであることと, KC(M)有界かつ同程度連続であることは同値である.

 

まず用語の確認をしましょう.

[定義] 相対コンパクト

距離空間 X の部分集合 K が相対コンパクトであるとは, K の閉包がコンパクトであることをいう.

距離空間ではコンパクト性と点列コンパクト性が同値になるので, 上記は

K の任意の点列が X で収束部分列をもつ

と言い換えられます. また Xが完備距離空間の場合, K が相対コンパクト性であることと全有界であることが同値になります.

 

[定義] 同程度連続

K\subset C(M) が同程度連続であるとは

\displaystyle \forall z\in M,\ \lim_{y\rightarrow z}\sup_{h\in K}|h(y)-h(z)|=0

を満たすときをいう. 

 

証明は今後pdfでうpするかもしれませんが, やる気がないので今はやりません. 儀我非線形偏微分方程式とか宮島ソボレフとかに証明が載っています. 対角線論法による証明が多いですが, 完備距離空間の場合, 相対コンパクトが全有界と同値であることを用いると証明が簡単になります. コンパクト性を示す際には全有界性を示すと見通しが良くなる的なことを講義で聞いた気がします.

 

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Poincaréの不等式

[定義] 空間 W_{0}^{1,\, p}

 W_{0}^{1,\, p}(U):= \overline{C_{0}^{\infty}(U)}\ \ \text{in}\ \ W^{1,\, p}(U)

 

[定理] (Poincaéの不等式)

U\subset \mathbb{R}^n有界開集合, u\in W_{0}^{1,\, p}(U),\ 1\le p \lt n とする.  このとき,

\forall q\in [1,\, p^{*}],\ \exists C_{p,\, q,\, n,\, U}\gt 0\ \ \text{s.t.}\ \ \|u\|_{L^{q}(U)}\le  C_{p,\, q,\, n,\, U}\|\nabla u\|_{L^{p}(U)} .

 

(証明) 

u\in W_{0}^{1,\, p}(U)なので

\exists \{u_{m}\}\subset C_{0}^{\infty}(U)\ \ \text{s.t.}\ \ u_{m}\rightarrow u \ \ \text{in}\ \ W^{1,\, p}(U) .

u_{m}U の外で0として \mathbb{R}^n 全体に拡張したものを \overline{u_{m}} とおく.  \overline{u_{m}}\in C_{0}^{\infty}(\mathbb{R}^n) であることに注意する. Sobolevの不等式より

\|u_{m}\|_{L^{p^{*}}(U)}= \|\overline{u_{m}}\|_{L^{p^{*}}(\mathbb{R}^n)}\le C\|\nabla \overline{u_{m}}\|_{L^{p}(\mathbb{R}^n)}=C\|\nabla u_{m}\|_{L^{p}(U)}

となる. ここで前回の記事と同様の議論により m\rightarrow \infty として

togedemaru419.hatenablog.com

 \|u\|_{L^{p^{*}}(U)}\le C\|\nabla u\|_{L^{p}(U)}

を得る. |U|\lt \infty なので, 任意の q\in [1,\, p^{*}] に対して

f:id:togedemaru419:20200908233445p:plain

 となる. 上から2行目はヘルダーの不等式を用いた. また  Cp,\ q,\ n,\ U に依存する定数である. 従って任意の q\in [1,\, p^{*}] に対して

\|u\|_{L^{q}(U)}\le C\|u\|_{L^{p^{*}}(U)}\le C_{p,\, q,\, n,\, U}\|\nabla u\|_{L^{p}(U)}

が成り立つ.    (証明終)

 

 

W_{0}^{1,\, p}(U) の場合拡張定理を必要とせず自然に拡張できるため, 境界の滑らかさの条件は必要ないです. このため, 前回の W^{1,\, p} の場合と違って不等式の右辺がソボレフノルムでなく, より強い条件である弱微分 L^p ノルムで抑えられることがわかります.

本定理はSobolevの不等式とヘルダーの不等式のコンボで示せました. Uルベーグ測度有限という仮定から, ヘルダーの不等式を用いて  p\le q \Rightarrow L^{q}(U)\subset L^{p}(U) が示せることは知っておきましょう.

 

Sobolevの不等式の応用①

前回は拡張定理の記事を書きました. 拡張定理とSobolevの不等式を使うとソボレフ空間   W^{1,\, p}L^{p^{*}} 空間の関係がわかります.

 

[定理] (Estimates for W^{1,\, p}\ \ 1\le p \lt n )

 U\subset \mathbb{R}^{n}有界開集合で境界 \partial U C^{1} 級であると仮定する. 1\le p \lt n,\ u\in W^{1,\, p}(U)とする.  このとき u\in L^{p^{*}}(U)\ \ (\frac{1}{p^{*}}=\frac{1}{p}-\frac{1}{n}) であり, p,\, n,\, U にのみ依存する正の定数Cが存在し,

\|u\|_{L^{p^{*}}(U)}\le C \|u\|_{W^{1,\, p}(U)}

が成り立つ.

 

(証明)

U有界かつ境界が C^1 級なので拡張定理より拡張作用素 E\in B(W^{1,\, p}(U),\ W^{1,\, p}(\mathbb{R}^n))が存在する. u\in W^{1,\, p}(U) をとる. Eu = \bar{u} とおく. フリードリクスの軟化作用素の議論から C_{0}^{\infty}(\mathbb{R}^n)W^{1,\, p}(\mathbb{R}^n)で稠密であるので

\exists \ \{u_{m}\}\subset C_{0}^{\infty}(\mathbb{R}^n)\ \ \text{s.t.}\ \ u_{m}\rightarrow \bar{u}\ \ \text{in}\ \ W^{1,\, p}(\mathbb{R}^n) .

ここでSobolevの不等式より, 任意の l,\, m\in \mathbb{N} に対して

\|u_{m}-u_{l}\|_{L^{p^{*}}(\mathbb{R}^n)}\le C \|\nabla (u_{m}-u_{l})\|_{L^{p}(\mathbb{R}^n)}

が成り立つ. \{u_{m}\}W^{1,\, p}(\mathbb{R}^n) でCauchy列なので, 上式右辺はCauchy列であり, 従って左辺もCauchy列になる. ここでL^{p^{*}}(\mathbb{R}^n) の完備性より,

\exists \ \tilde{u}\in L^{p^{*}}(\mathbb{R}^n)\ \  \text{s.t.}\ \ u_{m}\rightarrow \tilde{u} \ \  \text{in}\ \ L^{p^{*}}(\mathbb{R}^n) .

部分列をとって u_{m_{k}}\rightarrow \tilde{u}\ \ \text{a.e.} とできる. 一方   u_{m_{k}}\rightarrow \bar{u}\ \ \text{in}\ \ L^{p}(\mathbb{R}^n)でもあるから, さらに部分列をとって u_{m_{k}^{'}}\rightarrow \bar{u}\ \ \text{a.e.} とできる. よって   \tilde{u} = \bar{u}\ \ \text{a.e.} が成り立つ. 従って  u_{m}\rightarrow \bar{u}\ \ \text{in}\ \ L^{p^{*}}(\mathbb{R}^n) が成り立つ. 再びSobolevの不等式より

\|u_{m}\|_{L^{p^{*}}(\mathbb{R}^n)}\le C\|\nabla u_{m}\|_{L^{p}(\mathbb{R}^n)}

となるから, m\rightarrow \inftyとして

\|\bar{u}\|_{L^{p^{*}}(\mathbb{R}^n)}\le C\|\nabla \bar{u}\|_{L^{p}(\mathbb{R}^n)}

が成り立つ. また,  U 上では a.e. で u=\bar{u} となるので

\|u\|_{L^{p^{*}}(U)}=\|\bar{u}\|_{L^{p^{*}}(U)}\le \|\bar{u}\|_{L^{p^{*}}(\mathbb{R}^n)}

が成り立つ. 上2つの不等式を組み合わせて

\|u\|_{L^{p^{*}}(U)}\le C\|\nabla \bar{u}\|_{L^{p}(\mathbb{R}^n)}\le C\| \bar{u}\|_{W^{1,\, p}(\mathbb{R}^n)}\le C'\|u\|_{W^{1,\, p}(U)}

が成り立つ. 最後の不等号では拡張作用素の性質(3)を用いた.    (証明終)

 

証明中にフリードリクスの軟化作用素の話が出ましたが, いつかこれについて書こうと思います. 解析学で非常に重要な概念です. L^p関数に作用させると滑らかな関数になり, 元の関数を概収束・平均収束の意味で近似できます. 微積分的に扱いやすい滑らかな関数で近似できるので, まずは滑らかな関数で不等式を示し, その後極限をとって L^p 関数でも成り立つという議論がよく行われます (稠密性の議論でよくやるやつです). フリードリクスの軟化作用素については黒田関数解析(共立出版)や宮島ソボレフ空間(共立出版)やEvansのPDEに詳しく書かれています.

拡張作用素

前回のブログではSobolevの不等式を示しました. しかし関数の定義域が全空間であるため, 定義域が全空間でない場合だと使えません. そこでソボレフ関数の定義域を全空間に拡張し, Sobolevの不等式を適用することを考えます. それが以下の拡張定理です. ただし, 無条件にいつでも全空間に拡張できるわけではなく, 領域の境界に何かしらの滑らかさを仮定することになります.

 

[定理] (Extension Theorem)

U\subset \mathbb{R}^{n}有界開集合で境界 \partial U C^{1} 級であると仮定する.  V U\subset \subset V となる開集合とする. このとき有界線形作用素 E\in B(W^{1,\, p}(U),\ W^{1,\, p}(\mathbb{R}^{n})) が存在して以下を満たす: 

(1)    Eu =u  a.e.  in  U,

(2)   supp \ Eu \subset V,

(3)   \exists C_{p,\, U,\, V}\gt 0\ \ \text{s.t.}\ \ \|Eu\|_{W^{1,\, p}(\mathbb{R}^{n})}\le C_{p,\, U,\, V}\|u\|_{W^{1,\, p}(U)}.

 

証明はEvansのPDE本を読んでみてください. より一般的な結果が宮島静雄先生のソボレフ空間の基礎と応用(共立出版)に書かれています.