はむ。日記

離散数学とか解析学とかアニメについてつぶやきます。

距離の出現回数

凸包の定義

点集合Pの凸包とは、Pの点を全て含む極小の凸集合のことである。

(イメージ的にはPの各点を板に打ち付けた釘とみなした時、全ての釘を含むように外側から輪ゴムを掛けてできる凸多角形がPの凸包である。)

 

定理:

平面上にn個の点(n≧3){\displaystyle\ P_{1},P_{2},...,P_{n}}が与えられたとき、

 {\displaystyle\ {\sqrt{n-{\frac{3}{4}}}}-{\frac{1}{2}}}個以上の異なる値を持つ距離が存在する。

 (証明)

Case1:{\displaystyle\ P_{1},...,P_{n}}が同一直線上にある

定理の成立は明らか。

Case2:Case1以外

点集合P={{\displaystyle\ P_{1},P_{2},...,P_{n}}}の凸包をとり、必要に応じて頂点の記号を交換することにより、{\displaystyle\ P_{1}}を凸包上の1点と仮定してもよい。

このとき、凸包の頂点{\displaystyle\ P_{1}}での内角は180°未満である。

{\displaystyle\ P_{1}}から{\displaystyle\ P_{2},...,P_{n}}へのn-1個の距離を考える。これらの距離のうち{\displaystyle\ k}種類の異なる距離{\displaystyle\ d_{1},...,d_{k}}が起き、

{\displaystyle\ d_{i}}({\displaystyle\ i=1,..,k})がそれぞれ{\displaystyle\ f_{i}}回起きると仮定すると、

{\displaystyle\  n-1 = \sum_{i=1}^{k} f_{i} \ }

が成り立つ。

{\displaystyle\ f_{i}}のうち一番大きな値のものを{\displaystyle\ N}とすると、

{\displaystyle\ \sum_{i=1}^{k} f_{i}\ ≦kN}となるので、

{\displaystyle\ k≧{\frac{n-1}{N}}}を得る。

ここでN回起きる距離をrとし、{\displaystyle\ P_{1}}を中心とする半径rの円を

{\displaystyle\ P_{1}(r)}で表す。

{\displaystyle\ P_{1}(r)}の円周上にはN個の点が存在して、それらの点を{\displaystyle\ Q_{1},...,Q_{N}}とする。頂点{\displaystyle\ P_{1}}での凸包の内角が180°未満なので、N個の点{\displaystyle\ Q_{1},...,Q_{N}}{\displaystyle\ P_{1}(r)}の半円周上にある。よって、N-1個の距離{\displaystyle\ Q_{1}Q_{2},...,Q_{1}Q_{N}}はすべて異なる。

このように{{\displaystyle\ d_{1},...,d_{k}}}と{{\displaystyle\ Q_{1}Q_{j}}}({\displaystyle\ j=2,..,N})の2つの実数の集合を考えると、それぞれちょうど{\displaystyle\ k(≧{\frac{n-1}{N}})}個とN-1個の異なる値を含む。

与えられたすべての点の配置において、異なる距離の起きる回数をSおく。

上記の議論より

{\displaystyle\ max}{{\displaystyle\ N-1},{\displaystyle\ {\frac{n-1}{N}}}}{\displaystyle\ ≦S}である。

 nを固定したとき、Nを動かして左辺を下から評価すると定理の不等式を得る。■

 

初めてのブログ投稿でした。TeXに慣れていかないと。