Poincaréの不等式
[定義] 空間
[定理] (Poincaéの不等式)
を有界開集合, とする. このとき,
.
(証明)
なので
を の外で0として 全体に拡張したものを とおく. であることに注意する. Sobolevの不等式より
となる. ここで前回の記事と同様の議論により として
を得る. なので, 任意の に対して
となる. 上から2行目はヘルダーの不等式を用いた. また は に依存する定数である. 従って任意の に対して
が成り立つ. (証明終)
の場合拡張定理を必要とせず自然に拡張できるため, 境界の滑らかさの条件は必要ないです. このため, 前回の の場合と違って不等式の右辺がソボレフノルムでなく, より強い条件である弱微分の ノルムで抑えられることがわかります.
本定理はSobolevの不等式とヘルダーの不等式のコンボで示せました. のルベーグ測度有限という仮定から, ヘルダーの不等式を用いて が示せることは知っておきましょう.