はむ。日記

離散数学とか解析学とかアニメについてつぶやきます。

拡張作用素

前回のブログではSobolevの不等式を示しました. しかし関数の定義域が全空間であるため, 定義域が全空間でない場合だと使えません. そこでソボレフ関数の定義域を全空間に拡張し, Sobolevの不等式を適用することを考えます. それが以下の拡張定理です. ただし, 無条件にいつでも全空間に拡張できるわけではなく, 領域の境界に何かしらの滑らかさを仮定することになります.

 

[定理] (Extension Theorem)

U\subset \mathbb{R}^{n}有界開集合で境界 \partial U C^{1} 級であると仮定する.  V U\subset \subset V となる開集合とする. このとき有界線形作用素 E\in B(W^{1,\, p}(U),\ W^{1,\, p}(\mathbb{R}^{n})) が存在して以下を満たす: 

(1)    Eu =u  a.e.  in  U,

(2)   supp \ Eu \subset V,

(3)   \exists C_{p,\, U,\, V}\gt 0\ \ \text{s.t.}\ \ \|Eu\|_{W^{1,\, p}(\mathbb{R}^{n})}\le C_{p,\, U,\, V}\|u\|_{W^{1,\, p}(U)}.

 

証明はEvansのPDE本を読んでみてください. より一般的な結果が宮島静雄先生のソボレフ空間の基礎と応用(共立出版)に書かれています.